【事例考察シリーズ②~後編~】低利回りな新築物件で赤字に?税理士×不動産鑑定士の活用法
前編では、最高裁判決を題材に「過度な節税目的の不動産購入が税務署に否認されるリスク」について解説しました。しかし、相続税対策として不動産を購入する際、気をつけなければならないのは税務上の否認リスクだけではありません。
「相続税を減らすために、新築・築浅の賃貸マンションを購入する」というのは代表的な対策ですが、節税効果だけに目を奪われて物件を選んでしまうと、購入後に「保有すればするほど赤字が膨らむ」という本末転倒な状況に陥るリスクがあります。
1. 「節税できても資産が減る」リスクの真実
新築や築浅の賃貸物件は、購入時の相続税評価額を大きく下げられる(路線価や固定資産税評価額が市場価格より低くなる)ため、節税効果が高く見えます。しかし、以下の落とし穴に注意が必要です。
① 想定利回りの低さと収支赤字
新築・築浅物件は購入価格が高いため、もともとの表面利回りが低く設定されています。ローン返済、管理費、固定資産税などを差し引くと、当初から手元に残るキャッシュがほとんどないケースが少なくありません。
② 年数の経過に伴う「賃料下落」と「修繕費の増加」
築年数が経つにつれて賃料設定は下がり、空室リスクや修繕費用が増加します。結果として毎月の収支が赤字化し、相続税を数百万円節税できたとしても、何千万円もの持ち出しが発生して総資産を減らしてしまうことになります。
2. 不動産鑑定士が果たす「事業性と実質価値」の検証
税理士の専門分野は「税額の試算や法的な節税スキームの構築」ですが、購入する不動産が「投資・事業として将来にわたり成り立つか」という分析は専門外となるケースもあります。そこで重要になるのが不動産鑑定士の視点です。
不動産鑑定士は、単に公的価格を参照するだけでなく、以下のような多角的なアプローチで不動産の実体価値を評価します。
●将来の収益力(DCF法など)に基づいた適正評価:周辺の需給バランスや将来的な賃料下落・空室率を厳密に試算し、その物件が長期的に黒字を維持できるか判定します。
●出口戦略(将来の売却可能性)の査定:いざ売却したいとなった際に、希望通りの価格で流動性を確保できる土地・建物かを見極めます。
3. 税理士×不動産鑑定士の連携で「安全な相続税対策」を
前編・後編を通してお伝えしてきたように、成功する相続税対策には、「税務」と「不動産の実体価値」の両輪が不可欠です。
● 税理士:相続税の試算、各種特例の適用、税務申告の最適化
● 不動産鑑定士:購入・保有する不動産の適正価格の把握、収支リスクの診断、遺産分割時の公平な評価
これら両輪を回すためには、専門家同士の連携が非常に重要になります。「まだ依頼する税理士が決まっていない」「今の税理士が不動産に強いのか不安がある」という方もご安心ください。
当社(サジェスト不動産鑑定)にご相談いただければ、相続や不動産の節税対策に極めて強い税理士をご紹介することが可能です。
不動産のプロと税務のプロが強固なチームを組み、「節税しつつ、将来にわたって資産を守る」最適なプランをご提案します。
4. 相続税対策は「早期スタート」が選択肢を広げる
相続直前に慌てて不動産を購入すると、前編の裁判例のように税務署から注視されやすくなるだけでなく、物件吟味が不十分になり赤字物件をつかまされるリスクも高まります。時間をかけた収支・物件の選定や、生前贈与・不動産の組み換えなど、対策を早期に始めることが確実な節税スキーム構築への近道です。
■ 相続・資産税に関する不動産評価のご相談 ■
相続税対策で失敗しないためには、税務上のメリットだけでなく、不動産そのものの「収益性」と「将来リスク」を冷静に見極めることが欠かせません。
サジェスト不動産鑑定では、物件の収支リスク判定や適正価格の把握といった不動産評価はもちろん、相続・節税に強い税理士のご紹介を含めたワンストップのサポートを行っております。お客様の大切な資産を守るための「サジェスト(最適なご提案)」をいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

