令和7年 福岡県の地価調査を不動産鑑定士が解説―上昇は継続、選別は一段と。

サマリー

● 福岡県の全用途平均は+3.7%で上昇継続。住宅地+2.7%、商業地+5.1%、工業地+8.6%。

● けん引役の福岡市は住宅地+7.2%、商業地+10.2%、工業地+11.8%と高めの伸び。

● 上昇は続く一方、前年度より上昇幅はやや縮小。建築費・金利高、適地不足で物件選別が進む局面。


1. 今年の福岡県の地価動向(基準日:2025年7月1日)

県全体では、都心・幹線アクセス良好なエリアや開発余地のある街区が上昇を牽引しました。住宅地は金利・建築費の影響で伸びが落ち着き、商業地はマンション用地との競合やホテル投資の再開で堅調、工業地は物流・製造関連の需要が引き続き強さを示しています。一方で、市町ごと・地点ごとのばらつきが拡大し、「上がる場所は明確、横ばい〜弱含みの場所もある」という選別相場の色彩が濃くなりました。


2. 福岡市のポイント

人口・企業の集積、都心部の再開発、インバウンド・ホテル需要の回復が重なり、都心〜準都心の商業地と交通利便性の高い住宅地が県平均を大きく上回りました。住宅は分譲価格上昇と供給制約が続き、賃貸も需給は引き締まった状態です。工業・物流用地はIC近接や幹線接道、造成コストの差が価格を分けています。


3. 価格を押し上げる/抑える要因(鑑定の視点)

【押し上げ要因】

● 都心部の再開発・ホテル投資、人口流入、企業進出

● 物流網強化・サプライチェーン再編に伴う工業・物流用地ニーズ

● マンション用地との用途競合(容積活用の高度化)

【抑制要因】

● 建築コスト高止まり、住宅ローン金利の上昇

● 都心部の適地不足と取得競争の激化

● 周縁部の需要選別(横ばい・弱含みの地点の増加)


4. 実務への含意(用途別の着眼点)

● 商業地:ホテル・オフィス・レジの競合用途が価格形成に影響。容積の消化状況、用途転換余地、収益力(賃料・稼働・運営費)の検証が鍵。

● 住宅地:実需の負担力(ローン返済・家賃負担)と新築分譲価格・賃料の関係性を合わせて点検。近年は建築費・金利をどう織り込むかが焦点。

● 工業・物流用地:IC距離、幹線接面、造成・地盤改良コスト差が価格弾力性を左右。期待利回りの妥当性と需給の継続性を慎重に見極め。


5. 当社の強み:地代・賃料の増減額評価(福岡の不動産鑑定)

近年の地価上昇に伴い、地代・賃料の増額請求や減額交渉に関するご相談が、貸主・借主の双方から増えています。当社は地代・賃料増減に係る不動産鑑定の専門家として、次の観点で妥当な改定水準を提示します。

● 法的枠組みの整理:借地借家法、契約条項(改定条項・自動増減条項等)、関連判例の位置付け

● 経済事情の変動評価:地価公示・地価調査・路線価、近隣賃料、CPI、建築コスト、金利動向の総合評価

● 個別事情の反映:立地・規模・接道・形状、用途適合性、修繕・原状回復負担、特約の有無など

● 手続面の支援:相手方との交渉資料作成、セカンドオピニオン、調停・訴訟における意見書対応

福岡で不動産鑑定をご検討の方/地代・賃料の改定でお悩みの方へ。相続・担保・再開発・企業会計まで幅広い評価に対応します。まずはお気軽にご相談ください。


6. データの見方(本稿で用いた表について)

本文の数値は、公表資料の用途別変動率および福岡市の用途別平均価格・変動率を要約したものです。エクセル版の表(別添)をそのまま社内配布・図表化にご活用ください。