株価と不動産価格はなぜ動きを共にしやすいのか—福岡市の実感に置き換えて

要旨

株価と不動産価格は、金利の動き景気や成長への期待投資家のリスクをとる姿勢という共通の要因で、同じ方向に動きやすい傾向があります。ただし、株やREITは動きが早く、実物の不動産価格は反映が遅れがちです。福岡市では人口流入や再開発が続き、地場の強さが中長期の下支えになっています。




1|連動の理由

  • 金利の影響:金利が上がると、お金を将来に回す価値が下がるため、株も不動産も価格が下がりやすくなります。逆に金利が下がると上がりやすくなります。

  • 成長への期待:景気がよくなりそうだ、賃金が上がりそうだ、という見方が強いほど、企業の利益も賃料の伸びも期待され、両方の価格を支えます。

  • スピードの違い:株やREITは毎日値段がつきます。一方で実物の不動産は、成約や評価に時間がかかるため、後から動きが出ることが多いです。




2|福岡市に当てはめると

  • 人口流入と再開発が味方:福岡市は若い世代の転入が続き、都心の再開発も進んでいます。生活の利便性と雇用の受け皿が、住宅・オフィス・商業の需要を支えています。

  • 住宅・オフィスの足もと:新築の供給が重なる時期は空室が一時的に増えることがありますが、地場需要は底堅く、賃料は大きく崩れにくい構図です。

  • 物流
    • 福岡市は空港・港・高速道路が近接し、九州全域を見据えた広域配送の拠点になりやすい立地です。
    • EC需要や食品・医薬品の拠点化が追い風で、空室率はおおむね4%台で安定賃料も緩やかな上昇基調が見られます。
    • 大型の新規供給が出る期は一時的に空室が増えることもありますが、吸収(入居)は比較的早い傾向があります。

  • 総じて:株式市場が弱含む局面でも、福岡市は実需の厚みが中長期の価格を支えやすい地域です。ただし短期的には金利や投資家心理の変化で振れやすく、局面ごとの見極めが大切です。




3|実務での見方(評価・投資のヒント)

  1. 先に動く“市場の声”を観察:東証REIT指数や分配金利回り、売買の活発さは、不動産価格の先行シグナルになりやすいです。

  2. 金利と賃料を同時にチェック:金利が±0.5%動いた場合、賃料が±2〜3%動いた場合など、簡単な感度表で価格の振れ幅を把握しておくと判断がぶれません。

  3. 供給カレンダーに注意:竣工が集中する年は、一時的な空室や賃料のもたつきを想定。とくに都心オフィスと物流は、入居の時間差を見込んで計画すると安全です。




結び

株価と不動産価格は、同じ風(金融・景気)を受けつつ、動き出すタイミングが違うだけ、という場面が少なくありません。福岡市では人口・再開発・アクセスという地の利があり、短期の変動に振り回されず、金利と賃料の両にらみで判断することが重要だと考えます。物流分野はその代表例で、基礎需要が厚く、足腰の強さが価格を支えています。